現代の日本語で書く作家の小説について考察しています。
以下の作家の作品について書いています。
青木淳悟、青山七恵、絲山秋子、磯﨑憲一郎、大江健三郎、岡田利規、奥泉光、柴崎友香、大道珠貴、津村記久子、橋本治、福永信、古井由吉、保坂和志、山崎ナオコ―ラ、山下澄人、横尾忠則
本を入手していないとコメントは書けません。
栞書店で紹介させていただきました!
現実のそれとは「別の音域」で小説を立ち上げる日本の現代作家の作品を集めた書評集。今週芥川賞を受賞された柴崎友香さんの作品も複数収録されています! by栞
やはりこの人は、文芸誌に書く書評より、普段の日記で書く小説の感想の方が、数倍面白いと確信した。
これは個人的な問題かもしれない。ただ自分は、ブログの感想を読むと「面白そうだ!」と思って本を買うこは多々あるが、この本に載っている書評にはそれをほとんど感じなかった。(しかし、山下澄人『ギッちょん』 と、青木淳悟『私のいない高校』と、山崎ナオコーラ『この世は二人組ではできあがらない』の書評には、「面白そうだ」というワクワクを感じた)
なぜ文芸誌向けの書評を面白いと感じられないのか。(あくまで、自分の場合、である。)
そこで取り上げられるのは、小説の登場人物の関係であったり、視線な複雑な交差の仕方であったり、作品全体の構造の分析であったりするが、そういったものは、当該の小説を読んでから、なるほどな、と思うものであって、まだ読んでいない状態でそれを読んでも、「ふーん…」と思うだけで、先がない。何かを説明するにしても、(それが適切な例えだとしても)ドゥルーズの話であったり、宇宙の話であったり、自転車の比喩であったり、そういったものが出てくると、まどろっこしくて、興ざめしてしまう。
ナオコーラと青木の作品については、そこに留まらない、まだ読んだことのない読者に対する「開かれた」印象を受けた。(だから、自分は面白いと感じた)