2017年12月5日更新
誤字と脱字、それに、表現を少し変えた箇所があります。
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大地震が起こり,恭子は息子の未央が死んだことに自責の念に苛まれていた。彼女は夫の常男が当時、自分を助けてくれなかったことに、夫の愛が乏しいのだと落ち込むのだ。
他方、信者仲間の志井子は恭子が入院している病院に見舞いに訪れる。恭子にすれば歓迎すべき人ではない。教会で顔を合わせはするが格段、親しい間柄ではないのだ。
志井子は偶然知った常男の浮気の噂を恭子に知らせようとやってきたのであった。
夫の常男は学校で被災者支援のボランテイアをしていた。そこで、知り合った香織と懇ろになっていた。前からカトリツク信者の恭子と彼はなんとかうまくやっていたが、二人の間柄は震災を機に、その本当の姿が露になってきた。愛人の香織はそのことに勘ついていた。常男は杓子定規とみえる妻の態度に冷たいものを日頃感じていた。
香織の夫は不慮の事故でなくなっていた。その夫は志井子の兄である。
香織は美人で、中学校で教えていた時、その美貌は同性に睨まれたのであろう、あらぬ、噂を立てられていた。そうしたことに嫌気をさした香織は学校を辞め、ビアノ教師をし、生計を立てていた。彼女に一人娘の愛香がいた。看護士をして、病院で寝泊まりして、この震災時、がんばっていた。
恭子は夫の浮気の噂を確かめたいと、夫のボランテイアしている学校に出かけ、恋敵と対面する。そして、自宅に帰った恭子は日頃からノイローゼ気味であり、睡眠薬を常習していたのだが、誤って、飲みすぎてしまった。
倒れている妻を発見した夫は救急車で彼女を病院に担ぎ込んだ。彼女のいのちは風前の灯火であった。
さて、この結末はどう展開するのか?・・・
大地震と人間の運命。キリスト信者と自死の問題、禍と神の意志の問題等普遍的な問題を絡ませながら、人の生き方を問う作品である。
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