月刊群雛2015年09月号サンプル&著者インタビュー
ニンゲンは大きな指で、空に浮かぶ月を得意気につまんでみせた。
いつもとても大きく見えていた月が、星が、とても小さく見える。その様は私の足元に咲く小さな花よりも儚く、けれど落ちてくる光はいつもより強く優しかった。
「今日は満月だからね。空でも遊べるんだ」
隣に座るお母さんが、同意するようににゃあと鳴く。
私はニンゲンの言葉は分からない。でも、今日はいつもより楽しいことが沢山あるんだと、教えてくれているのは分かる。
楽しい夜の散歩はこれからだ。
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