月刊群雛2016年01月号サンプル&著者インタビュー
死刑判決が下された、マリー・アントワネット。自分の部屋に戻り、大好きな姉に手紙を書いた。次に自分の息子、シャルルに手紙を書こうとする。
だが、真っ白な手紙を前に、何を書いていいのか、伝えればいいのかわからず、悩んでしまう。ふと、母親の生い立ち、自分の生い立ちを書いてみた。するとスラスラと書ける。同時に、あの時の感情が甦ってきた。
母親の名はマリア・テレジア。母国では「女帝」として君臨し、ハプスブルク家を守り抜いた人物。その後ろ姿を、マリー・アントワネットはずっと見てきた。いつ頃からか、憧れとなり、嫉妬するようになる。
マリー・アントワネットが十五歳になった日。フランスのルイ・オーギュストと結婚。後のルイ十六世になる。フランスに嫁ぐのだと言われた。母親は何度も、
「ハプスブルク家の繁栄の為。それを忘れないように」
その言葉を胸に刻み、一人、ヴェルサイユ宮殿へ。少女の孤独な戦いが始まる。
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