僕の愛は君に届くの?これは「僕」と「彼」の純愛物語。
本当はこんな形で会いたくなかったな――。
祭りの夜に出会った「ルトフィー」は、ハランの野に住むエシュタルの少年。そして「僕」は、「彼」に恋をした。
でも、この恋は叶わぬ恋。それはわかっている。それでも僕は、彼を見つめ続ける。
青年になったルトフィーは、隣村の娘に恋をする。
幸せそうなルトフィー。でもその幸せは長くは続かなかった。村に疫病が流行り、その疫病はルトフィーの恋人にも死をもたらすことになる。
笑顔の消えたルトフィー。彼の美しい青い瞳は、いつしか憎悪で濁っていた。
そしてついに、僕と彼は対峙することに――。
僕の一方的な愛は、最高潮に昇華する。
究極の悲恋ファンタジー、ここに誕生
金巻ともこ(著)
ふじいそう(編)
澤俊之(デザイン)
NovelJam 2018 出場作品
本を入手していないとコメントは書けません。
何を言ってもネタバレになってしまいそうでとてもレビューが書きにくいですね笑
私は中盤の「ため息が冷たい風になった」のくだりで一文でスマートに悲恋を説明した点に技術を感じたし、「激エモだな」と思いました。
最後の句点のアリナシが命運を分け、惜しくも受賞を逃した作品ですが、うん、私も「句点はナシ」派に一票です。
デザイナとして表紙絵を描かせていただきました。普段自分で読むジャンルでもなくテイストでもなく、読み解き方をいろいろ変えながら何度も読みました。そして最後は涙腺崩壊。純愛
わたしの好きなハードコアパンクバンドG.I.S.Mの横山SAKEVIは、「勇者が死した後に、その肉を食らうことによって勇者の力を継承する」という古代伝承を好んでいた。この小説にも同じようなロマンを感じる。小説の最初の一文字と最後の一文字が円環構造を織り成していて、その中でキャラクターが生き生きと躍動している。そんな小説です。
物語を読み進めるうちに僕という存在の想いが鮮明になって行きます。その想いを知り、もう一度最初から読みました。相手に抱く感情とそれが叶わないという切なさ。彼の伝わらない気持ちは形を変えても生き続けるのかもしれませんね。
今回、編集を担当させていただいた一作。さすがの文章力で、ほとんど手が掛からず、お役に立てたか微妙ですが、読んでいてこれほど読後感の良い本はそう滅多にないはず。これは自信をもって薦められる文句なしの傑作。
彼女のお手伝いが出来て、編集者としてもいろいろ勉強になりました。