著者紹介
片根伊六(かたね いろく)
https://katane-iroku.com
※直方体について
学生のころは立方体や球体が好きでした。
立方体や球体は完璧な形だと思っていました。
でも今は直方体の方がすごいと思うようになりました。
直方体はとてつもなく恐ろしいと思います。
わたしの部屋の中にいったいいくつ直方体があるのでしょう?
平べったいの、長いの、小さいの、大きいの、どっしりとしたの、
かわいいの、シックなの、軽やかなの、ハイテックなの、クラシックなの……。
まったく同じ直方体はありません。
それでいてどれも直方体に分類するしかありません。
立方体や球体だと主張になってしまいますが、直方体がいくら集まっても
オフィスかマンションになるだけです。
直方体は手がらや著作権を主張しません。
どこにでもおさまって、果てしなく増殖していきます。
横にも奥にも手前にも上にも下にも、自由自在に拡張していきます。
そして自らの内部になんでも詰め込みます。
どんなものも整理して収めます。
一〇年前にはコンセプトもなかったようなサービスやコンテンツを、
まるで最初から想定していたかのように平気な顔をして取り込んでいきます。
本当に恐ろしくて大好きです。