夏祭り、約束の時間に現れない、〈あいつ〉
楽しげなひとたちの群れにぽつんと佇む〈わたし〉は、神社裏の暗がりにトランクを広げる、うさんくさい露天商の灯りに引き寄せられる。
キツネのお面をかぶった男の子が、そっとトランクに何かをいれた。
それを手にした〈わたし〉に露天商が話しかける。
「ムーンの味に興味はありませんか?」
……もう一度会いたいひとがいる……
ムーンドロップは、そういう〈わたし〉の物語です。
どんな夜にも、月はそこにいて、きっと聞いている。
願いと祈りをこめて。
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