彼女は言う。「あの頃から早希は変わったよ」と。
彼は言う。「早希は変わってる」と。
「好きな人の一番になるよりも、二番がいいに決まってる」
早希は、一体何者なのか?
ーーこれは四人の視点から語られる、ひとりの女の物語。
本を入手していないとコメントは書けません。
早希って誰だ。
きっと私の周りにいるようでいない女の子。
大事な人の一番になれないから次点に甘んじているわけではない、一番にならないことが最良であると思う早希の発言と行動。理解できても真似はできない。
早希自身が己を語る章がないことが彼女をこの世に存在させている、もしくは彼女に似た人物を現実の世界に探させているように感じた。
複数の違った目線から同一人物について語ることでその実像がはっきりしてくる、という手法が今回の作者の武器だと思う。
早希のような考え方で生きていけたらすごく楽かもしれないと思う反面、今までの生き方の否定にも繋がりそうだと考え、私は早希ではない、早希にはなれないと自認する。
様々な人からのコメントによって中心人物である彼女の姿が浮かび上がってきます。最初は気弱で主体性がないのかと思われた彼女ですが……その印象が変わってくるのが恐ろしくも心地良かったです。
「1番になれないということは……」から始まる最後の言葉も、衝撃を受けました。
ぜひ読んでほしいです。