第二次世界大戦が激化し、日本が破滅に向かって突き進んでいた1944年11月25日、ひとりの青年がフィリピンのルソン島で戦死した。
その青年とは私の大伯父である。
その大伯父と同時代を生きた、美しい4人の女性芸術家たちがいた。
日本人として初めてショパンコンクールに出場し、世界へと羽ばたいたピアニストの原智恵子。それまでになかったモダンな雰囲気で日本映画界に新風を吹き込んだ映画女優の桑野通子。本格的なジャズ歌手の誕生と称賛され、戦後、ブギの女王となった笠置シヅ子。そして、命懸けで自分の愛する大切な歌を守り続けたブルースの女王・淡谷のり子。
きっと青年は、彼女たちの演奏や歌声をラジオを通して耳にし、映画を通してその演技を目にしていたことだろう。
それぞれの戦前・戦中・戦後を生きた女性たちと、戦後を待たずしてルソン島という戦場に散った、大勢の兵士たちの中のひとりの青年の生涯を、独自の解釈を交えて書き上げた渾身のレクイエム。
今一度知ってほしい、激動の時代を生きた4人の女性芸術家と、22歳の若さで戦場に散った名もなき青年の生きた証を。
本を入手していないとコメントは書けません。
私の祖父も戦死しています。
残っている写真は父と瓜二つです。その後、祖母は再婚しましたが、新しい旦那さんはすぐに結核で亡くなり、その看病で娘(私の叔母)は障害を持ってしまいました。
…と、そんな時代だったんだと筆者の仰る通りです。
それにしても、ここまで調べてドキュメンタリーにされた著者の行動力に感銘しました!
忘れていましたが、靖国神社に祖母を連れて行ってあげられた事が唯一良かったと、そんな事を思い出させてくれた著書でした。