多宗教が混在するネパール国の首都カトマンズ。この町にてしばし逗留し、夜明け前もしくは宵闇迫る時間に市内各所を巡ることを推奨したい。それは、現代の日本人にとっては、曖昧模糊となってしまった「信仰心」というものの原型に立ち会うことが出来るからである。ヒンズー教、仏教(テーラワーダ・チベット仏教など)、さらには民間信仰などによる日常の祭儀や祈りの風景が、そこらじゅうにて展開されているからである。その祈りは、日々の時の移ろいの中に、しっかりと溶け込んでいるである。この脚色の無い素朴な「祈りの風景」に出逢うことは、現代人にとり「自らの足元」を照らす光明を探す行為にも等しいのではないだろうか。
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