1960年の、かつて日本が実効支配していた旧満州のうち、関東区域までは、そこそこの安定した施政が保てるようにした珠洲らに、またも桂創が現れた。今度の舞台は、同じ関東共和国でも2002年だった。NIES並みの経済繁栄を謳歌し、内憂外患といった目に見えた混乱がないにもかかわらず、市民の幸福度を示す小瓶の砂は半分。これはいったいどういうことなのか。現地首相王陳礼らが戸惑うなか、珠洲はさっと言った。 「二〇〇二年頃を境に、貧しい人の基準とは、『外車を持っていない人』から、『配偶者がいない人に変わっていませんか、とーー」。コンビニエンスというむなしいものを国家が追求した結果、個人の裕福の基準が外車から配偶者に変貌してしまっていたのだった。世帯を持つことまでを競争の対象にしては広い意味で市民社会が成り立たない…国民の誰もが学校を出ていながら、大声を出すことはできても四則演算すらできない水準に陥っていた。それを見た珠洲たちは申し出た。自分たちは、閣僚に相当する国務院委員ではなく、国家級機関、国家財経社労委員になりたい、とーー。
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第三話:寿退社狙いで労働市場を破壊する女性と、定期昇給とそれを組み合わせる経営者との悪の結束
第四話:労働虐待は児童虐待に同じであり、片方だけを騒ぐのは偽善者
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