「肉は詞々で出来ている。」
西暦2019年7月より密やかに続けられていた試行、ここに644,500字の文量をもって成果。
これは「近代日本文学」なるものへの死刑宣告であり、日本語圏というきわめて限定された時空に孕まれた神聖喜劇であり、そして2020年代より新たに到来する言語への遥けき前奏曲である。
第1部 九天不可測
職業作詞家としてのキャリアに行き詰まりを感じはじめた國分測は、福岡市の龍九三のもとを訪れる。二年の時を経た二人は自分自身の変容に気づいていたが、互いのために手を組むには至らなかった。しかしフリーランスミュージシャンの漁火イリチと知り合った九三は、測とともに賞金付オープンマイクに参加する成り行きとなる。
これは彼女らが導かれることになる航路への、ほんの序曲に過ぎなかった。かくして東アジアの混血地帯:九州にて、散り散りに戯えていた声たちが、いま不穏にひとつの歌を糾いはじめる。
章構成:
01 糾歌前夜
02 聖なる海と感化院
03 君の弟はゲイでおまけにサグ
Interlude I XXXmas
04 鯰は生じゃ喰えないはずさ
05 騙されう者は彷徨ぬ
06 再出立
07 X列車で行こう
第2部 肉ひしめく円卓
客船Yonahに迎えられた龍九三は、かつて百済不二良と行動を共にしていた人物:霧島四七と知り合う。少なからぬ動揺を覚えながらも、93は同乗する韓国代表:锡鼓と親交を深めながらツアー用の楽曲制作に取り組む。テキサス州エル・パソに到着した一同は、Innuendo、Defiant、Shamerockと合流。
かくして客船Yonahに集った5組は、試行と錯誤と分裂と結合を繰り返しながら各々の生路を往く。そして5月初頭、一同はダブリン公演にて最大の試練に逢着する。
章構成:
08 Foul & Fair
09 2 U
10 칠월보다 더운
11 ἴδιος κοινός
12 三人成虎
13 Sensitive Obsessed Sister
14 The Family of Black Sheep
15 Master & Servant
16 Tinker Tailor Dark Duke
17 Howth Castle & Environs
Interlude II I luv my CUMputer
18 To The Bone
19 Clothes to Me
20 Hallowed Be Thy Game
21 Hardcore Peace
第3部 下僕どもの大道
西暦2020年7月。東京都豊島区に三階建の城を構えたχορός一行(κωμός)は、新たに二人の賓客を迎える。手探りながら誼みを結ぶも、彼女らの「誰かにとっての家族でありたい」という可憐にして哀切な想いは、大地もろともに砕かれる。そしていくつもの消えない傷が刻まれた生路の果てに、ついに「夜」が訪れる。
章構成:
22 我ら啓典の民
23 何故
24 聖者への路
25 鯨
26 庭
27 残品
28 これを限りに
29 下僕の大道
Interlude III 抱擁
30 こよなき誕生
dealofgod
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※この小説はフィクションであり、実在の人物・団体・事件等とすべて関係があります。
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