Seiki Sugawara
1967年生まれ。植木職人。 自著;『曖昧な時節の最中で』(近代文藝社)・『書かれるべきでない小説のためのエピローグ』(新風舎) *カニングハムは、「振り付けするとはダンサーがぶつからないようにすることだ」と言っている。盆栽に象徴される日本の植木の仕立ての技術とは、枝が交差し絡み、ぶつからないよう偶然を準備していくことにある。自然に気づかれないで、いかに生起してくるaccidentを馴化していくかの工夫なのだ。たとえ西洋のトピアリーのような造形をめざさないことに文化的な価値の規定を受けていようと、そこには特殊にとどまらない普遍的な対応がある。芥川が「筋のない話」として日本の私小説の困難な特異さと歴史的前衛性を洞察したことが、日本の植木職人の技術のなかにも潜在するのである。
著者紹介
Seiki Sugawara
1967年生まれ。植木職人。 自著;『曖昧な時節の最中で』(近代文藝社)・『書かれるべきでない小説のためのエピローグ』(新風舎) *カニングハムは、「振り付けするとはダンサーがぶつからないようにすることだ」と言っている。盆栽に象徴される日本の植木の仕立ての技術とは、枝が交差し絡み、ぶつからないよう偶然を準備していくことにある。自然に気づかれないで、いかに生起してくるaccidentを馴化していくかの工夫なのだ。たとえ西洋のトピアリーのような造形をめざさないことに文化的な価値の規定を受けていようと、そこには特殊にとどまらない普遍的な対応がある。芥川が「筋のない話」として日本の私小説の困難な特異さと歴史的前衛性を洞察したことが、日本の植木職人の技術のなかにも潜在するのである。