『美しき誘惑に潜む復讐の牙』
宮本哲也のもとへ一通の葉書が届いた。それは毎年秋に開催される高校の同窓会の案内だった。仕事がうまくいっていない哲也は同窓会を欠席することにした。
数日後、哲也に一本の電話がかかってきた。戸塚仁志からの電話だった。仁志とは学生時代にいろいろあったのだが、ひょんなことから仁志の妻である麗子の尾行を頼まれることになった。
仁志は浮気を疑っているようだったが、麗子が浮気をしている様子はなく……。
『海峡』
海峡の岸壁に男女の死体があがった。男の死体は南側の町に、女の死体は北側の町に。それもほとんど同時刻にあがったのだという。
海峡を隔てている町で関連していそうな事件など、そうそうあるものではない。謎めいた事件に町は色めき立った。
男の身元はすぐに判明した。大森雅紀という叩けばいくらでも埃が出てくる男だった。一方で、女の身元は不明のままだった。
刑事の亀山と池田は大森を調べれば女のこともわかるかもしれないと、大森について調べ始めた先で……。
『紙の海』
私は病室で千羽鶴を眺めていた。別れた彼女、聖子がかつて折ってくれたものだった。聖子はその名前の通り、心も体も清らかな女性だった。
聖子と結婚していたら……そう思いながら、私はこれまでの人生を振り返った。学生時代の記憶。聖子との出会い。忘れもしないあの日の忘年会。
私はどこで間違ったのだろうか。
どこからやり直せばいいのだろうか。
そして、最後に私は千羽鶴に込められた聖子の思いを知ることになる。
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