ソムリエール頼子は黒、料理人美奈は白のタブリエ(エプロン)をつけて働く三十歳目前の女の子。タブリエの色と同じく、性格も正反対のふたりの仕事と恋の物語。
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人はすぐに快適なものの方へ流される。
美奈はそれが怖い。
一度心地よさを知ると、失ったときの苦しさは耐え難い。
だから美奈はなるべく人と関わらないようにしてきたし、物をあまり持たない。
誰かの肩に寄りかかってはいけない。もちろん、頼子にも。
美奈はキュッと唇を結ぶ。
頼子は前に終わった恋愛で人肌の温かさを知ったと言った。
美奈はそれ以上に、失った後の冷たさのことを強く覚えている。
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仕事に、恋に。 悩める女性に読んで欲しい。
共幻文庫 短編小説コンテスト2015
最優秀作品賞『恋の章の終わりに』連載化作品
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〈著者紹介〉
浜野稚子(はまのわかこ)
関西在住の主婦。
「自分だけの切り口を見つけて、普通の人の日常をよりリアルに感じていただけるような物語を書きたいと思います」
本を入手していないとコメントは書けません。