共幻社
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冊数 11 冊
紙本 0 冊
更新 2017.07.17
ジャンル 文芸11
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『共幻文庫 短編小説コンテスト2016』
株式会社共幻社発行
文芸
2018.02.28
『共幻文庫 短編小説コンテスト2016』
株式会社共幻社発行
文芸
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『共幻文庫短編小説コンテスト2016』
応募総数323作品から選ばれた優秀賞10作品・佳作10作品」をお届けいたします。データ本:275円
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『共幻文庫 短編小説コンテスト2015』
共幻文庫発行
文芸
2017.07.15
『共幻文庫 短編小説コンテスト2015』
共幻文庫発行
文芸
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『共幻文庫短編小説コンテスト2015』
応募総数793作品から選ばれた「優秀賞12作品」「佳作65作品」をまとめてお届けいたします。データ本:275円
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『恋するタブリエ Ⅰ.頼子と美奈』
共幻社発行
文芸
2017.07.15
〈作品紹介〉 ソムリエール頼子は黒、料理人美奈は白のタブリエ(エプロン)をつけて働く三十歳目前の女の子。タブリエの色と同じく、性格も正反対のふたりの仕事と恋の物語。 * 「美奈……私、明日、最高に不細工な顔して働くことになるんやろうと思うわ」 「そんな日もありますよ、人間なんやから」 「一応接客サービスのプロやのに」 「ほんなら、そういう日は不機嫌な顔をごまかす技術つけたらええんです。頼子さんがここへ働きに来る前に、シェフはめっちゃ頼子さんのこと調べてました。いろんな人に頼子さんのこと聞いて。それで評判がいいことを知って引き抜きに行ったんです。そやから、頼子さんはもっと自信を持ってええんです」 ぽろりと涙が頬を伝って、美奈の頭の上に落ちた。 一粒また一粒、美奈の黒い髪が頼子の涙を吸いこんで濡れていく。 ただ地味で鈍感な人だと思って美奈を軽く見ていた。 美奈は人に甘えずひとりでしっかり立っているのに、こんなに人に寄り添うのが上手なのだ。 * 仕事に、恋に。 悩める女性に読んで欲しい。 共幻文庫 短編小説コンテスト2015 最優秀作品賞『恋の章の終わりに』連載化作品 * 〈著者紹介〉 浜野稚子(はまのわかこ) 関西在住の主婦。 「自分だけの切り口を見つけて、普通の人の日常をよりリアルに感じていただけるような物語を書きたいと思います」
- データ本
- 220円
- 購入
- 紙の本
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- 購入
『恋するタブリエ Ⅰ.頼子と美奈』
共幻社発行
文芸
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〈作品紹介〉
ソムリエール頼子は黒、料理人美奈は白のタブリエ(エプロン)をつけて働く三十歳目前の女の子。タブリエの色と同じく、性格も正反対のふたりの仕事と恋の物語。
*
「美奈……私、明日、最高に不細工な顔して働くことになるんやろうと思うわ」
「そんな日もありますよ、人間なんやから」
「一応接客サービスのプロやのに」
「ほんなら、そういう日は不機嫌な顔をごまかす技術つけたらええんです。頼子さんがここへ働きに来る前に、シェフはめっちゃ頼子さんのこと調べてました。いろんな人に頼子さんのこと聞いて。それで評判がいいことを知って引き抜きに行ったんです。そやから、頼子さんはもっと自信を持ってええんです」
ぽろりと涙が頬を伝って、美奈の頭の上に落ちた。
一粒また一粒、美奈の黒い髪が頼子の涙を吸いこんで濡れていく。
ただ地味で鈍感な人だと思って美奈を軽く見ていた。
美奈は人に甘えずひとりでしっかり立っているのに、こんなに人に寄り添うのが上手なのだ。
*
仕事に、恋に。
悩める女性に読んで欲しい。
共幻文庫 短編小説コンテスト2015
最優秀作品賞『恋の章の終わりに』連載化作品
*
〈著者紹介〉
浜野稚子(はまのわかこ)
関西在住の主婦。
「自分だけの切り口を見つけて、普通の人の日常をよりリアルに感じていただけるような物語を書きたいと思います」データ本:220円
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『恋するタブリエ Ⅱ.恋の章の終わりに』
共幻社発行
文芸
2017.07.15
ソムリエール頼子は黒、料理人美奈は白のタブリエ(エプロン)をつけて働く三十歳目前の女の子。タブリエの色と同じく、性格も正反対のふたりの仕事と恋の物語。 * 人はすぐに快適なものの方へ流される。 美奈はそれが怖い。 一度心地よさを知ると、失ったときの苦しさは耐え難い。 だから美奈はなるべく人と関わらないようにしてきたし、物をあまり持たない。 誰かの肩に寄りかかってはいけない。もちろん、頼子にも。 美奈はキュッと唇を結ぶ。 頼子は前に終わった恋愛で人肌の温かさを知ったと言った。 美奈はそれ以上に、失った後の冷たさのことを強く覚えている。 * 仕事に、恋に。 悩める女性に読んで欲しい。 共幻文庫 短編小説コンテスト2015 最優秀作品賞『恋の章の終わりに』連載化作品 * 〈著者紹介〉 浜野稚子(はまのわかこ) 関西在住の主婦。 「自分だけの切り口を見つけて、普通の人の日常をよりリアルに感じていただけるような物語を書きたいと思います」
- データ本
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『恋するタブリエ Ⅱ.恋の章の終わりに』
共幻社発行
文芸
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ソムリエール頼子は黒、料理人美奈は白のタブリエ(エプロン)をつけて働く三十歳目前の女の子。タブリエの色と同じく、性格も正反対のふたりの仕事と恋の物語。
*
人はすぐに快適なものの方へ流される。
美奈はそれが怖い。
一度心地よさを知ると、失ったときの苦しさは耐え難い。
だから美奈はなるべく人と関わらないようにしてきたし、物をあまり持たない。
誰かの肩に寄りかかってはいけない。もちろん、頼子にも。
美奈はキュッと唇を結ぶ。
頼子は前に終わった恋愛で人肌の温かさを知ったと言った。
美奈はそれ以上に、失った後の冷たさのことを強く覚えている。
*
仕事に、恋に。 悩める女性に読んで欲しい。
共幻文庫 短編小説コンテスト2015
最優秀作品賞『恋の章の終わりに』連載化作品
*
〈著者紹介〉
浜野稚子(はまのわかこ)
関西在住の主婦。
「自分だけの切り口を見つけて、普通の人の日常をよりリアルに感じていただけるような物語を書きたいと思います」データ本:220円
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『恋するタブリエ Ⅲ.出来の良い後輩』
株式会社共幻社発行
文芸
2017.07.15
ソムリエール頼子は黒、料理人美奈は白のタブリエ(エプロン)をつけて働く三十歳目前の女の子。タブリエの色と同じく、性格も正反対のふたりの仕事と恋の物語。 * 正直に言えば、美奈はけして遠山にどの仕事をさせたらいいのかわからなかったのではない。 どれも遠山に奪われたくなかっただけだ。 仕事覚えも良くて器用な遠山はきっと美奈が仕事を与えれば与えただけすぐに自分の物にしていく。 美奈はそれに怯えていた。 『遠山ができるようになっても、美奈にとって当たり障りのない仕事』 それを探すのに頭を悩ませて。 岩崎は今まで坊主に自分から仕事を教えることはあまりなかった。 坊主への仕事はいつも美奈を通して指示していた。 それなのに、遠山は。やはり素質があるということだろうか。 岩崎は美奈の遠山への嫉妬心を見抜き、美奈には委ねられないと判断したのか。 苛立ちと羞恥が混じりあって美奈の体温を上げる。 握った掌にはじっとりと汗をかいていた。 * 仕事に、恋に。 悩める女性に読んで欲しい。 共幻文庫 短編小説コンテスト2015 最優秀作品賞『恋の章の終わりに』連載化作品 * 〈著者紹介〉 浜野稚子(はまのわかこ) 関西在住の主婦。 「自分だけの切り口を見つけて、普通の人の日常をよりリアルに感じていただけるような物語を書きたいと思います」 ☆Twitter:https://twitter.com/hamano_wakako ★作品HP:http://koisurutablier.officialblog.jp
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『恋するタブリエ Ⅲ.出来の良い後輩』
株式会社共幻社発行
文芸
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ソムリエール頼子は黒、料理人美奈は白のタブリエ(エプロン)をつけて働く三十歳目前の女の子。タブリエの色と同じく、性格も正反対のふたりの仕事と恋の物語。
*
正直に言えば、美奈はけして遠山にどの仕事をさせたらいいのかわからなかったのではない。
どれも遠山に奪われたくなかっただけだ。
仕事覚えも良くて器用な遠山はきっと美奈が仕事を与えれば与えただけすぐに自分の物にしていく。
美奈はそれに怯えていた。
『遠山ができるようになっても、美奈にとって当たり障りのない仕事』
それを探すのに頭を悩ませて。
岩崎は今まで坊主に自分から仕事を教えることはあまりなかった。
坊主への仕事はいつも美奈を通して指示していた。
それなのに、遠山は。やはり素質があるということだろうか。
岩崎は美奈の遠山への嫉妬心を見抜き、美奈には委ねられないと判断したのか。
苛立ちと羞恥が混じりあって美奈の体温を上げる。
握った掌にはじっとりと汗をかいていた。
*
仕事に、恋に。 悩める女性に読んで欲しい。
共幻文庫 短編小説コンテスト2015
最優秀作品賞『恋の章の終わりに』連載化作品
*
〈著者紹介〉
浜野稚子(はまのわかこ)
関西在住の主婦。
「自分だけの切り口を見つけて、普通の人の日常をよりリアルに感じていただけるような物語を書きたいと思います」
☆Twitter:https://twitter.com/hamano_wakako
★作品HP:http://koisurutablier.officialblog.jpデータ本:220円
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『恋するタブリエ Ⅳ.ワインノート』
株式会社共幻社発行
文芸
2017.07.15
ソムリエール頼子は黒、料理人美奈は白のタブリエ(エプロン)をつけて働く三十歳目前の女の子。タブリエの色と同じく、性格も正反対のふたりの仕事と恋の物語。 * すべての客がほぼ同じ時間にやってきて、店内は一時混沌とした。 上着の預かりや席への案内だけでも手を焼き、コックコート姿の遠山に力を借りることになる。 前菜の盛り付けやメインディッシュに沿える野菜の準備、デセールの仕上げ、洗い物、遠山には遠山の仕事がたくさんあるというのに。 「ごめんね」 頼子はおしぼりを運ぶ遠山にすれ違いざまに声を掛ける。 「大丈夫です。ホールの仕事で判断できない時は、頼子さんの目を見て困ってることを知らせて指示を仰ぐようにって、美奈さんが」 (美奈が……) いつからなのか。美奈は少しずつ頼もしくなっている。 後輩との呼吸があってきたことで作業に余裕が出来たせいか、周りがよく見えている。 ランチメニューを任され自信をつけてきたし、実際料理技術も上げていた。 (私は何か変われるんやろか) 自分を成長させるような出来事が起きるような気がしない。 回る長縄跳びの輪に一人だけリズムが合わずに入れないような焦りが頼子を支配する。 * 〈著者紹介〉 浜野稚子(はまのわかこ) 関西在住の主婦。 「自分だけの切り口を見つけて、普通の人の日常をよりリアルに感じていただけるような物語を書きたいと思います」 ☆Twitter:https://twitter.com/hamano_wakako ★作品HP:http://koisurutablier.officialblog.jp
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『恋するタブリエ Ⅳ.ワインノート』
株式会社共幻社発行
文芸
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ソムリエール頼子は黒、料理人美奈は白のタブリエ(エプロン)をつけて働く三十歳目前の女の子。タブリエの色と同じく、性格も正反対のふたりの仕事と恋の物語。
*
すべての客がほぼ同じ時間にやってきて、店内は一時混沌とした。
上着の預かりや席への案内だけでも手を焼き、コックコート姿の遠山に力を借りることになる。
前菜の盛り付けやメインディッシュに沿える野菜の準備、デセールの仕上げ、洗い物、遠山には遠山の仕事がたくさんあるというのに。
「ごめんね」
頼子はおしぼりを運ぶ遠山にすれ違いざまに声を掛ける。
「大丈夫です。ホールの仕事で判断できない時は、頼子さんの目を見て困ってることを知らせて指示を仰ぐようにって、美奈さんが」
(美奈が……)
いつからなのか。美奈は少しずつ頼もしくなっている。
後輩との呼吸があってきたことで作業に余裕が出来たせいか、周りがよく見えている。
ランチメニューを任され自信をつけてきたし、実際料理技術も上げていた。
(私は何か変われるんやろか)
自分を成長させるような出来事が起きるような気がしない。
回る長縄跳びの輪に一人だけリズムが合わずに入れないような焦りが頼子を支配する。
*
〈著者紹介〉
浜野稚子(はまのわかこ)
関西在住の主婦。
「自分だけの切り口を見つけて、普通の人の日常をよりリアルに感じていただけるような物語を書きたいと思います」
☆Twitter:https://twitter.com/hamano_wakako
★作品HP:http://koisurutablier.officialblog.jpデータ本:220円
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『恋するタブリエ Ⅴ.どうなりたいの?』
株式会社共幻社発行
文芸
2018.04.04
ソムリエール頼子は黒、料理人美奈は白のタブリエ(エプロン)をつけて働く三十歳目前の女の子。タブリエの色と同じく、性格も正反対のふたりの仕事と恋の物語。 * 皿をひっくり返せばブランド名が記されているとは思うが、それをチェックするのはやめた。 高級な洋食器ブランドの名前など美奈にはどうせわからない。 自分の店を持つとしたら―――。 買ってもいない宝くじの賞金の使い道を夢想するように考えることはある。 自分なりにこだわった食器を使って、自分なりの店を、と。 しかし、美奈の考える「こだわり」はこの店のような高級さとは違う。 河田と一緒に店を、なんて一瞬でも夢見たあの頃の自分の若さに美奈はにが笑いした。 描いていた未来はもともと違うものだったようだ。 「すごいなぁと思うんですけど、俺のしたいのとは違います。資金とか度外視しても」 ガラスの向こうの庭を真っ直ぐ見て話す遠山の瞳に、照明の光が映りこんで暖かいオレンジ色に光る。 「うん。私も」 「ですよね。美奈さんもこういう感じやないやろうと思いました」 ふっ、と同時に息をついて笑う。 良かった。一緒に働く遠山が自分と全く違う方を向いてなくて。 美奈はテーブルの上の遠山の大きな左手を握りたいような気持ちになった。 * 〈著者紹介〉 浜野稚子(はまのわかこ) 関西在住の主婦。 「自分だけの切り口を見つけて、普通の人の日常をよりリアルに感じていただけるような物語を書きたいと思います」 ☆Twitter:https://twitter.com/hamano_wakako ★作品HP:http://koisurutablier.officialblog.jp
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『恋するタブリエ Ⅴ.どうなりたいの?』
株式会社共幻社発行
文芸
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ソムリエール頼子は黒、料理人美奈は白のタブリエ(エプロン)をつけて働く三十歳目前の女の子。タブリエの色と同じく、性格も正反対のふたりの仕事と恋の物語。
*
皿をひっくり返せばブランド名が記されているとは思うが、それをチェックするのはやめた。
高級な洋食器ブランドの名前など美奈にはどうせわからない。
自分の店を持つとしたら―――。
買ってもいない宝くじの賞金の使い道を夢想するように考えることはある。
自分なりにこだわった食器を使って、自分なりの店を、と。
しかし、美奈の考える「こだわり」はこの店のような高級さとは違う。
河田と一緒に店を、なんて一瞬でも夢見たあの頃の自分の若さに美奈はにが笑いした。
描いていた未来はもともと違うものだったようだ。
「すごいなぁと思うんですけど、俺のしたいのとは違います。資金とか度外視しても」
ガラスの向こうの庭を真っ直ぐ見て話す遠山の瞳に、照明の光が映りこんで暖かいオレンジ色に光る。
「うん。私も」
「ですよね。美奈さんもこういう感じやないやろうと思いました」
ふっ、と同時に息をついて笑う。
良かった。一緒に働く遠山が自分と全く違う方を向いてなくて。
美奈はテーブルの上の遠山の大きな左手を握りたいような気持ちになった。
*
〈著者紹介〉
浜野稚子(はまのわかこ)
関西在住の主婦。
「自分だけの切り口を見つけて、普通の人の日常をよりリアルに感じていただけるような物語を書きたいと思います」
☆Twitter:https://twitter.com/hamano_wakako
★作品HP:http://koisurutablier.officialblog.jpデータ本:220円
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『恋するタブリエ Ⅵ.あなたがほしい』
株式会社共幻社発行
文芸
2017.07.15
「でも、その……一応、そういうんは……はっきりしといた方がよくないですか?」 美奈も納得がいかないといった表情だ。 「何をどうやってはっきりさせんねんな。まぁ、野村さんには後で電話はしてみるけど」 頼子は左手に持った携帯を振って見せる。 いっそ野村が踏み込んできてくれたら、頼子は余計なことを考えずに済んで意外と上手くいくかもしれない。 「頼子さん、……頼子さんの気持ちを大事にしてくださいね……流されんように……よく、考えて。その……私……なんかちょっと、心配です」 まるで美奈に脳内を覗かれたみたいでひやりとした。 核の部分をわざと避けるような言い方で、美奈は忠告めいたことを口にする。 辛気臭い美奈の気遣いが気に障った。 はっきり言えばいいのに。心の中で強がって突っかかる。 実際にはっきり言われたら困るのは頼子だ。 自分の気持ちをどう動かしたらこのもどかしさから解放されるのか、頼子自身わかっていない。 (美奈やって何か悩んどるんやろうが。他人の心配しとる場合ちゃうやろ) 沈黙する頼子と美奈の間を遠山の視線がウロウロとさまよう。 「あの……美奈さん、頼子さん、そろそろケーキ切りましょか。明日も早いですし」 遠山が立ち上がって、冷製料理とデセール用の調理スペースに設置されたナイフラックから長いケーキナイフを抜く。 コックコートを着た遠山は白い騎士のようで、こんな彫刻なかったやろうかと頼子は考える。 おそらく遠山は、最後には美奈のことを颯爽と抱きかかえて救うのだと思う。 羨ましい。 白いトラックに乗った次郎さんが一瞬頼子の頭の中を横切って、止まらずに行ってしまった。
- データ本
- 220円
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『恋するタブリエ Ⅵ.あなたがほしい』
株式会社共幻社発行
文芸
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「でも、その……一応、そういうんは……はっきりしといた方がよくないですか?」
美奈も納得がいかないといった表情だ。
「何をどうやってはっきりさせんねんな。まぁ、野村さんには後で電話はしてみるけど」
頼子は左手に持った携帯を振って見せる。
いっそ野村が踏み込んできてくれたら、頼子は余計なことを考えずに済んで意外と上手くいくかもしれない。
「頼子さん、……頼子さんの気持ちを大事にしてくださいね……流されんように……よく、考えて。その……私……なんかちょっと、心配です」
まるで美奈に脳内を覗かれたみたいでひやりとした。
核の部分をわざと避けるような言い方で、美奈は忠告めいたことを口にする。
辛気臭い美奈の気遣いが気に障った。
はっきり言えばいいのに。心の中で強がって突っかかる。
実際にはっきり言われたら困るのは頼子だ。
自分の気持ちをどう動かしたらこのもどかしさから解放されるのか、頼子自身わかっていない。
(美奈やって何か悩んどるんやろうが。他人の心配しとる場合ちゃうやろ)
沈黙する頼子と美奈の間を遠山の視線がウロウロとさまよう。
「あの……美奈さん、頼子さん、そろそろケーキ切りましょか。明日も早いですし」
遠山が立ち上がって、冷製料理とデセール用の調理スペースに設置されたナイフラックから長いケーキナイフを抜く。
コックコートを着た遠山は白い騎士のようで、こんな彫刻なかったやろうかと頼子は考える。
おそらく遠山は、最後には美奈のことを颯爽と抱きかかえて救うのだと思う。
羨ましい。
白いトラックに乗った次郎さんが一瞬頼子の頭の中を横切って、止まらずに行ってしまった。データ本:220円
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『恋するタブリエ Ⅶ.幸せのマリアージュ(完)』
株式会社共幻社発行
文芸
2017.07.15
《大好評の恋タブシリーズ、感動の最終回!》 頼子は自分のことをよく話す。 一つの出来ごとについて、自分の思ったことをああだこうだ。 「なぁ、美奈どう思う?」 笑い話も腹が立った話もくだらない話も、表情を変え身振りもつけて忙しく。 そのくせ頼子はあまり恋の話をしない。 見た目が派手なため恋愛に積極的そうに見えるが、その方面には意外と弱腰だ。 しかし、美奈はわかっている。頼子の口からよく出て来る名前で、頼子が誰のことを想っているのか。 無駄に一緒に暮らしているわけではない。頼子は美奈の同僚であり、同居人であり、友人だ。 重たいと思ってなるべく人とのかかわりを持たないように気を付けていたのに、一人で三役も持っている近しい人を作ってしまった。放っておけるわけがない。 「さぁ、うちらも行こか」 美奈は白いタブリエを緩める。 「おう」 遠山が腰に手を当て掛け声のような返事をした。
- データ本
- 220円
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『恋するタブリエ Ⅶ.幸せのマリアージュ(完)』
株式会社共幻社発行
文芸
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《大好評の恋タブシリーズ、感動の最終回!》
頼子は自分のことをよく話す。
一つの出来ごとについて、自分の思ったことをああだこうだ。
「なぁ、美奈どう思う?」
笑い話も腹が立った話もくだらない話も、表情を変え身振りもつけて忙しく。
そのくせ頼子はあまり恋の話をしない。
見た目が派手なため恋愛に積極的そうに見えるが、その方面には意外と弱腰だ。
しかし、美奈はわかっている。頼子の口からよく出て来る名前で、頼子が誰のことを想っているのか。
無駄に一緒に暮らしているわけではない。頼子は美奈の同僚であり、同居人であり、友人だ。
重たいと思ってなるべく人とのかかわりを持たないように気を付けていたのに、一人で三役も持っている近しい人を作ってしまった。放っておけるわけがない。
「さぁ、うちらも行こか」
美奈は白いタブリエを緩める。
「おう」
遠山が腰に手を当て掛け声のような返事をした。データ本:220円
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『私と光石君の恋物語』
共幻文庫発行
文芸
2018.04.04
【キャラクター紹介】 〈小池マリ(主人公)〉 恋に悩める女の子。光石君のことになると思考がおかしくなる。時おり出てくる妙な英語表現とキレのあるツッコミが持ち味。 〈光石君〉 野菜を愛する新感覚系ジェントルマン。キザなセリフが嫌味に聞こえないほどに独自の世界観を醸し出している。 〈坂本眞子〉 マリとは保育園からの腐れ縁。『美しすぎるこけしを守る会』が発足されるほどの容姿の持ち主だが、中身はわりとサタン。 【著者紹介】 ・山﨑 歩帆(やまざき あゆほ) ラジオ、映画、ゲーム、海外ドラマを主食とするほ乳類。 関東圏内の「娘夫婦と一緒に暮らしたい町ナンバー1※私調べ」の某地域にて生息中。 『人類皆兄弟説』を「笑える小説」で具現化すべく奮闘中である。 今現在の目標はイチゴを野菜と認めること。 Twitter:@zakiyamaayuho
- データ本
- 220円
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『私と光石君の恋物語』
共幻文庫発行
文芸
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【キャラクター紹介】
〈小池マリ(主人公)〉
恋に悩める女の子。光石君のことになると思考がおかしくなる。時おり出てくる妙な英語表現とキレのあるツッコミが持ち味。
〈光石君〉
野菜を愛する新感覚系ジェントルマン。キザなセリフが嫌味に聞こえないほどに独自の世界観を醸し出している。
〈坂本眞子〉
マリとは保育園からの腐れ縁。『美しすぎるこけしを守る会』が発足されるほどの容姿の持ち主だが、中身はわりとサタン。
【著者紹介】
・山﨑 歩帆(やまざき あゆほ)
ラジオ、映画、ゲーム、海外ドラマを主食とするほ乳類。
関東圏内の「娘夫婦と一緒に暮らしたい町ナンバー1※私調べ」の某地域にて生息中。
『人類皆兄弟説』を「笑える小説」で具現化すべく奮闘中である。
今現在の目標はイチゴを野菜と認めること。
Twitter:@zakiyamaayuhoデータ本:220円
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『私と光石君の恋物語②』
共幻文庫発行
文芸
2017.07.16
【キャラクター紹介】 〈小池マリ(主人公)〉 恋に悩める女の子。光石君のことになると思考がおかしくなる。時おり出てくる妙な英語表現とキレのあるツッコミが持ち味。 〈光石君〉 野菜を愛する新感覚系ジェントルマン。キザなセリフが嫌味に聞こえないほどに独自の世界観を醸し出している。 〈坂本眞子〉 マリとは保育園からの腐れ縁。『美しすぎるこけしを守る会』が発足されるほどの容姿の持ち主だが、中身はわりとサタン。 【著者紹介】 ・山﨑 歩帆(やまざき あゆほ) ラジオ、映画、ゲーム、海外ドラマを主食とするほ乳類。 関東圏内の「娘夫婦と一緒に暮らしたい町ナンバー1※私調べ」の某地域にて生息中。 『人類皆兄弟説』を「笑える小説」で具現化すべく奮闘中である。 今現在の目標はイチゴを野菜と認めること。 Twitter:@zakiyamaayuho
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『私と光石君の恋物語②』
共幻文庫発行
文芸
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【キャラクター紹介】
〈小池マリ(主人公)〉
恋に悩める女の子。光石君のことになると思考がおかしくなる。時おり出てくる妙な英語表現とキレのあるツッコミが持ち味。
〈光石君〉
野菜を愛する新感覚系ジェントルマン。キザなセリフが嫌味に聞こえないほどに独自の世界観を醸し出している。
〈坂本眞子〉
マリとは保育園からの腐れ縁。『美しすぎるこけしを守る会』が発足されるほどの容姿の持ち主だが、中身はわりとサタン。
【著者紹介】
・山﨑 歩帆(やまざき あゆほ)
ラジオ、映画、ゲーム、海外ドラマを主食とするほ乳類。
関東圏内の「娘夫婦と一緒に暮らしたい町ナンバー1※私調べ」の某地域にて生息中。
『人類皆兄弟説』を「笑える小説」で具現化すべく奮闘中である。
今現在の目標はイチゴを野菜と認めること。
Twitter:@zakiyamaayuhoデータ本:220円
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共幻文庫 短編小説コンテスト2016
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株式会社共幻社
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共幻文庫 短編小説コンテスト2015
共幻社
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恋するタブリエ Ⅰ.頼子と美奈
浜野稚子
共幻社
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恋するタブリエ Ⅱ.恋の章の終わりに
浜野稚子
共幻社
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恋するタブリエ Ⅲ.出来の良い後輩
浜野稚子
株式会社共幻社
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恋するタブリエ Ⅳ.ワインノート
浜野稚子
株式会社共幻社
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恋するタブリエ Ⅴ.どうなりたいの?
浜野稚子
株式会社共幻社
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恋するタブリエ Ⅵ.あなたがほしい
浜野稚子
株式会社共幻社
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恋するタブリエ Ⅶ.幸せのマリアージュ(完)
浜野稚子
株式会社共幻社
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私と光石君の恋物語
山﨑歩帆
共幻文庫
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私と光石君の恋物語②
山﨑歩帆
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2012年8月15日フェスティバルFUKUSHIMA!オープニングイベント「Flags Across Borders」と8月25日のクロージングイベント「マッシュルーム・レクイエム」に当日参加したミュージシャン、福島の人、県外の人、スタッフ、総勢400人を越える旗手によるポストカードブックです。前年の「福島大風呂敷」をリメイクした、色も形もサイズもすべて異なる約1〇〇〇本の旗から選んだ旗を手にポーズ! 暑かったあの夏、旗持つ旗手たちの凛々しくてかっこよくてチャーミングな瞬間が写っています。ぱらぱらめくると、なぜか元気になって胸のあたりが熱くなる、そんなライブな写真集です。 写真は「第二回 littlemore+BCCKS 写真集公募展」の大賞と川内倫子賞をダブル受賞した成田舞。
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2012年8月15日フェスティバルFUKUSHIMA!オープニングイベント「Flags Across Borders」と8月25日のクロージングイベント「マッシュルーム・レクイエム」に当日参加したミュージシャン、福島の人、県外の人、スタッフ、総勢400人を越える旗手によるポストカードブックです。前年の「福島大風呂敷」をリメイクした、色も形もサイズもすべて異なる約1〇〇〇本の旗から選んだ旗を手にポーズ! 暑かったあの夏、旗持つ旗手たちの凛々しくてかっこよくてチャーミングな瞬間が写っています。ぱらぱらめくると、なぜか元気になって胸のあたりが熱くなる、そんなライブな写真集です。 写真は「第二回 littlemore+BCCKS 写真集公募展」の大賞と川内倫子賞をダブル受賞した成田舞。
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写真冊子「現像」4号。 photopia(明所視)/scotopia(暗所視)という視覚現象をタイトルに、プロアマ問わずSNS等をとおして収集した「東京」の写真。それらを展覧会として公開編集し、加速的に変化し続ける「東京」の、もうひとつのイメージマッピングを試みるプロジェクト。170名の参加者から約2,000枚の写真が送られた。 この本は、このプロジェクトに基づく展覧会「photopia/scotopia−東京 現像 Vol.4」(トーキョーアーツアンドスペース本郷/2018年)を経て、制作されました。 http://genzouprojects.com
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- タチヨミのみ
- なし
- 読む
- 紙の本
- 3,200円
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………………………… 2013年11月20日更新 後記を追加しました。 ………………………… 2013年11月17日更新 目次と章立てを変更しました。 ………………………… 2013年10月19日更新 表紙を差し替えました。絵師は朔野安子先生です。 ………………………… 咲き初めた桜の下で、つぐみは翔と出会った。 つぐみを見て何故か驚愕する翔。 会ったこともないはずなのに、胸が痛い…。 やがて明らかになる、翔とその兄弟たちの秘密。 つぐみが生まれる前に亡くなった叔母・あかりと翔の意外なつながり。 翔をつけ狙う謎の"ドッペルゲンガー"。 数百年の時を超え、果たされる宿命の再会。 狂おしいほどのこの想いは、いったいどこからくるの…? 愛憎入り乱れる、和風ヴァンパイア・ロマンス。
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彼は堕ちて来た。流星のように――。 血の繋がらない叔父と暮らす少女ユカは、荒野を旅する途中、隕石の如く空から落ちてきた青年を拾う。 記憶を失った青年に思い出せたのは『シン』という名前だけ。ユカは渋る叔父マサトに頼み込み、店のアルバイトとして彼を使ってもらう。 だが、新しい生活に馴染む暇もなくシンの背中からは純白の大きな翼が。 そして同じ頃、ユカの住む街にシンを追う者たちが舞い降りた……。 運命を変えるボーイ・ミーツ・ガール。レトロチックなSci-Fiファンタジー。 ※以前の本が編集不能になったためコピーしました。内容は以前とまったく同じです。
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