はじめに
十年前、二〇〇七年に父が他界した。
遺品に『なばりの昔話(編集:名張高校郷土研究部/昭和五十五年)』があった。当時の同高生徒らが顧問の松鹿昭二先生の指導で、市内にまつわる伝説を高齢者たちから聞き取り、まとめた八十一編の昔話だった。
このまま埋もれさせるのは惜しい、編集にかかわった先生と生徒たちの努力と苦労に敬意を表したい、と思った。そして名もなき一郷土史家であった父と交わした約束、「父の遺志を継ぐ」という約束を果たす。それが父の供養になる。その思いも込め、一年かけて自身のホームページに収録、朗読付きで紹介した。
そのとき、同ホームページに掲載するために、昔話に関連する場所を自分で写真撮影した。撮影写真は名張市全域にわたるもので、数百枚におよんだ。
それらの写真の一部を、今回この拙い本の中に散りばめた。どの写真が名張市のどこなのかは、本の末尾に一覧がある。自分の住む平和な故郷・名張市のどこの風景なのか、考えながら楽しんで見ていただければ、ありがたい。
なお、名張の友より、詩と絵を数点、提供していただいた。厚く感謝申し上げる。
本を入手していないとコメントは書けません。