青野は中学の時、両親の〝性〟の不確実さや教師や大人の助言の虚無感に悩み、自殺を試みたことがありましたが未遂に終わっていました。まさに当時、ことばは他人の彼のどこにもぶつかることなく通りすぎていく〝無風〟のものだったのです。そんな彼は小学教師の道を選び、子どもたちとの予定調和な関係とは真逆な、個々が自分自身から逃げずに向き合うしかない中で、確かなつながりをつくるべく葛藤の日々を送っていました。それは、互いが今を生きる上で必要な力を獲得していくための〝具体的な風〟を受けるべく選んだ道でもあったのです。
本を入手していないとコメントは書けません。