最近、突如、夢の中に出てくるようになったゴシック調の塔。そこへ近づこうとする幼い日の私を諫める今は亡き母の声。壁にもたれ疲弊しきった兵士らしき人間たち。地方の新聞社の記者である私は、上空からの果実栽培の取材を任され、空からその塔を見ることになります。
だがそれは操縦士やカメラマンには見えない私だけのものだったのです。
やがて一人でその塔が見える近辺の歴史を調べるうちに、その地には、かつて地下壕が掘られ、敵が上陸してきたときの基地となる場所だったことを知ります。私はさらに詳しく知るため、そこを公園にすることに尽力した役場職員の木村に会いに行くのですが……。
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