黄色の古い小さな車で仕事を休んで旅をする一人の男が、ヒッチハイカーの一人の女と出逢う。左手には着替えなどを詰め込んだ赤茶色の大きなバッグ。右手にはキャスターがついた黄色のスーツケース。ずっと中身がわからないままのその黄色のスーツケースにはいったいなにが入っているのか? ほんのドライブのつもりで男は女を車に乗せるが、その旅の先にあるものとは・・。
※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、出来事などとは一切関係ありません。
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彼と彼女の、それぞれの心に映されるものに
共感したり、心を動かされたり、鮮やかな感性にハッとしたり。
そして2人の心がほどけるようにして交わされる会話は、
その場で形成されたリズムのようなものがあって、何か心地良い広がりを感じさせてくれます。
そして読み手の私の心もほどいてくれて、読み進めるごとにこの2人の空気感にどんどん惹き込まれていきました。
彼の黄色の車に、彼女の黄色のスーツケース。
それは何か素敵な縁で引き寄せ合った、共鳴し合ったもののようにも感じます。
心の中のざわざわしたものがどことなく緩み、安心感と共に落ち着きを取り戻し、またここから軽やかに進んで行こう。
2人の醸し出すエネルギーがそんなふうに思わせてくれる、印象的で素敵なドライブの時間でした。