全6話の秋を舞台にした物語になります。日々に落胆する街子が見る夢。青春時代の痛みを思い出すナミヲ。滅びゆく竜(ドラゴン)。秋の公園で女と別れる男。与えられた使命をその小さな背中に背負うかのような秋の木の実(ドングリ)たち。少し哀しかったり、ほろ苦いような物語のなかにも、どうか優しさが広がりますように。
目次
1.街子のゆめ
2.秋の王女
3.痛みは軽さに
4.竜と赤と青の世界
5.トワイライト
6.街子の始まり
本を入手していないとコメントは書けません。
色鮮やかな紅葉の世界から、冬へ向けてどんどん静けさが深まっていく・・・
私はそんな秋の季節がとても好きなのですが、
そこにエモーショナルな心模様が美しく織り込まれて、
さらに秋の魅力に深みが増したような、そんな短編集でした。
きらびやかな自然の趣き。
この世界のどこかにいる愛おしい存在。
きっと誰もが経験するであろう心の痛み、疼き。
様々な舞台で、様々な存在たちや人々が、秋の季節に穏やかに包まれ見守られている・・・
そんな「さり気ない繊細な愛」が伝わってくるようにも感じます。
心と体に沁み入るような物語でした。
そして、それぞれの物語から伝わる様々な感情と愛が、
日常の秋の風景の中からも感じられるようで、幸せで心地良いです。