秋を舞台にした短編6篇になります。6篇の物語の一つ一つがほんのひと時でも、読んでくださる方の心に寄り添うことができたなら、とっても嬉しいです。
その店は祭りの数々の屋台の列に並んでいながら、やる気なさげに浮いている。そやけど、その金魚すくいのおっちゃんのことがなんとなーく気になってしもたもんやから、ふらっと立ち寄ってしまった。夏の祭りやなくて、十月のあたまに開催される秋の祭り。その祭りが開催される三日間に、小学生のあの頃の僕は母親から貰った百円玉を三枚握りしめては夢中で過ごした。三百円で、ほんまによう楽しめたんよなぁ。そんなあの日のことをどういうわけか、自然に思い出していた。『金魚すくい』より
目次
1.秋と魔法と扉と
2.駅の出口から
3.月の下で
4.金魚すくい
5.秋の日のノート
6.北欧の駅で
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